【感想】
日本では劇場未公開の作品。
一人の美女の狂気が生み出す恐怖に巻き込まれる主人公、というストーリーなわけですが、ブリタニーはセクシーというより小悪魔、かわいらしいという印象。
服を脱ぎ捨てキスを迫って男性を誘惑するシーンですら、不思議と色気がほとんど無く、ひたすら年相応でカワイイ、まさに“小悪魔”という感じでした。わざとそういう演技にしたのか、それとも単にスーザン・ウォードがそういう女性というだけなのかは定かではありませんが。男性から見るとあれもひとつの色気なのかな?
個人的に、彼女の外見や雰囲気は小悪魔的かわいらしさがあってとても好きです。
そしてエイドリアン役のロリ・ヒューリングの容姿もこれまた大好きです。ブリタニーとは違い、大人っぽくて少し男性的な雰囲気もあって(と、私は感じた)対照的な二人ですね。
それはそうと本編ですが。
つまらないか面白いか、の二択ならば「面白い」と思いますし、特に退屈するシーンもなく、決してつまらない映画では無いと思います。
しかしこれ、プロの作品とは思えないほど、すべてにおいて
中 途 半 端です。
監督のメアリー・ランバートは、履歴だけ見ればそれなりに本数を撮っていて「ペット・セメタリー」など話題作も手がけているはずなのですが(これは原作が有名なだけかもですが。見ていないので出来の程は不明です)、それにしては素人の作品かと思うほどのツメの甘さ。
以下、ある程度のネタバレを含みますのでご注意ください。
まず感じたのは「テーマが定まってないのか?」ということ。制作者的には定まっているのかもしれませんが、色々な要素が詰め込まれすぎていて、どれもこれもが中途半端に終わってしまっている気がします。
一番のメインが「ブリタニー」であることはまず間違いないと思いますが、そもそも彼女の性格設定そのものが中途半端。完璧な狂気、完璧な恐怖といったものが、彼女には無いんです。
そもそもの発端は姉に対する嫉妬(その他もろもろ)の感情だったと思われますが、その動悸から始まってこの映画が終わるまでの彼女の一連の行動は、狂気というより……敢えて汚い言葉を使うと「我儘なクソガキの大暴走」といった感じ。
姉のこと、グループの中心人物に上り詰めたことで調子に乗り、後先考えずに一線を越えてしまうようになった、それは狂気というよりは単なる馬鹿にしか見えなくて。
ブリタニーに「無敵感」を感じなかったのも原因かもしれません。最初に言ったようにブリタニーはあくまで「小悪魔少女」なのです。この手のサスペンスにありがちな、恐怖と隣り合わせの絶対的色気や、用意周到なかしこさが無いように感じます。
その場その場でずる賢く苦境を切り抜けはしますがどこかでボロを出すし、体を武器に誘惑したところで、最終的には何かのきっかけであっけなく男に捨てられて計画が破綻しそうなタイプだと思うのです。
絶望感というものを、見ていてほとんど感じませんでした。
そもそも、ブリタニーはどういった魂胆でエイドリアンに“友人として”近づいたのでしょうか。直接恨みのある相手はもう居ないから、そっくりなエイドリアンを自分に従えさせて(もしくは周囲を操って転落させて)優越感を覚えようとしたのでしょうか。
結果的に、そんな余計なことをしたせいでブリタニーはあのような結末を迎えるに至ったわけなので、「結局何がしたかったの?」感が否めません。
そして二番目のポイントである「エイドリアン」なのですが、彼女が精神病患者である理由が見当たりません。終盤で、精神病であることを理由に誰も彼女を信じてくれない、という展開がありましたが――別にそれは、精神病でなくとも代用は効くと思います。
その程度にしか活かせないのなら、そんな小難しい要素は取っ払ってブリタニーにより重点を置いても良かったと思うし、精神病のせいで疑いを晴らせない、という問題に重点を置きたいのであれば、いっそのことはじめから病歴を利用され何者かに罠にはめられたエイドリアンが自らの疑いを晴らそうとするストーリーにしてしまえばいいと思うのです。
このあたり、もっと思い切って削ってスマートにしていれば、ケリーやマットなんかももう少しキャラが立って良かったと思うのですが……。
そして一番「え?」と思ったのは勿論ラストです。
私はこの映画よりも前に「ハード・キャンディ」という映画を見ており、ラストでパーティーの夜に勝負、という展開になった時には少々その映画と印象がかぶって「なるほど、大勢の人の前で事件の証拠を突きつけて鼻をあかしてやろうってことだな」と思いながら見ていたのですが……。
なぜ? なぜそこまで追いつめておきながらツメが甘いのエイドリアン!?
追いかけっこに発展するのは構いません。見ていて結構ハラハラしますから。
ただ、そこまで頭脳フル回転で計画を練っていたエイドリアンの余りにも間抜けな行為(最後まで頭脳勝負で打ち負かすとばかり…)、そして駆けつけた男子の、これまた間抜けな油断&無力っぷり、極めつけにはどちらがケンカを吹っ掛けたかも定かではないのに、いきなり態度を翻しブリタニーに冷たい視線を投げかけるパーティー参加者達。そして駄目押しに、彼らに向けたブリタニーの台詞。この台詞がもう少し凝ったものだったら、ブリタニーに対する印象も変わっていたかもしれないのに……最後の最後で思わせぶりなシーンがあったけど、どうせ上手く外に出られてもまた失敗するとしか思えない。
格闘シーンにしろ、後味を悪くしてブリタニーは怖い女だと思わせようという意図だろうけれど、いっそのことハード・キャンディのように「してやったり」ですっぱり終わった方が良かったんじゃないの?と正直思いました。
色々なものを詰め込みすぎてどれも中途半端になり、彼らが見ている側に与えたかったであろうモノが半分くらいしか伝わってこなかったです。
ここまでボロクソに言っておいてなんですが、本当に、決してつまらないというわけではありません(笑)
暇つぶし程度に見るにはもってこいかと思います。ただ、なんだかもやもやしたものを抱く可能性が高いのであまり期待せずに見ると逆に楽しめるかもしれません。
サスペンスとしてこれはどうかな、といった出来でした。
ブリタニーとエイドリアンのカワイさ&カッコよさは保証します。
お気に入り度:★★☆☆☆☆

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